春の園 壁画用コラム

春の壁画の神話は、2人の登場人物からはじまります。
奪うことしか知らない山賊、そして狩ることしか知らない狩人。
この2人の年齢について、考えてみましょう。

子供むけの絵本などでこの神話をとりあげる際には、
2人はどちらも少年として描かれることが多いようです。
読者に年齢を合わせてあるのでしょうか。
いいえ、それは違います。
大人用の資料でも、この2人を少年として描くものは数多くあります。
これは、知り合ったばかりの彼らがそれぞれ、
戦うことしか知らない、狩ることしか知らない、幼い状態だという意味があるのです。

一方、狩人は少年のまま、山賊を大人として描いた資料も少なくありません。
こちらは、知り合ったばかりの彼らではなく、
彼らが助け合うようになった後の関係を意味しています。
狩人は、毎日好きに獲物を追い回すという図から子供や少年を連想します。
また山賊は、他の山賊から狩人を守るという図から、大人を連想するのです。

2人が出会った時期を描こうとするのか、
互いの知識を共有し、協力しあうようになってからの2人の生活を描こうとするかで
年齢の解釈が変わってきているのです。

さらに、旅人はというと
山賊と狩人の年齢に関わらず、老人、または年齢不詳の存在として描かれます。
旅人は、戦うことも狩ることもできませんが、旅による知識を持っている存在です。
この知識を示すための描き方なのでしょう。